計量士合格まで 

脇坂真伍

 人間はこれまで数々の科学技術を発明し、使用してきました。同時にその結果として,公害や環境問題という負の遺産も生み出してきました。 これを解決するためには,「今,環境にどれくらいの濃度で有害物質が存在しているのか?」を正確に把握する必要があります。しかし,この測るという行為は,測定の技術に関する専門的な知識などがないといけません。もし,測定方法が測定者によって異なったり,それによって測定結果がいい加減であったりすると、さらなる環境の汚染を招くことになったり,逆に環境保全に対して敏感になり過ぎて必要以上にお金を使うことになってしまいます。 そこで,計量法では、環境中の物質の濃度に関しては「計量証明事業所」という、登録を受けた業者が出した数字について信頼性を保証するということになっています。その計量証明事業所では,「環境計量士」と呼ばれる人が,その測定を正しく行えるように技術上の管理をすることになっています。つまり,環境計量士の管理下で測定することでデータの信頼性を確保できるようになっているわけです。
 物と物,物と貨幣の交換(つまり,「取引」)は,関係者同士の取り決めがなければ成り立ちません。例えば僕たちはガソリンスタンドに掲げられた1リットルあたりの料金を見て「この店は高いな」とか「安いな」と判断します。しかし店によって1リットルという体積が異なるようではこの判断はできません。このように取引は,物の量や濃度における計量の正確さの保持が非常に重要です。僕は大学で化学を学んでいますが,化学実験においても正確に質量や濃度を測るということは,実験の成功や安全に繋がるためとても重要なことだと感じています。そのため世の中に通じる数値を出すための測定方法,管理について知ることには意味があると思い,その道の専門家である環境計量士(濃度関係)の勉強を始めました。

計量士試験は4科目で,
  (1) 化学基礎(環境関係法令,化学全般の計算問題)
  (2) 濃度計量(分析化学,化学分析に関する知識,濃度計に関する知識)
  (3) 関係法規(計量法関係法令)
  (4) 計量管理(計測工学,品質工学,信頼性工学,制御工学)
 それぞれ「環化」,「環濃」,「法規」,「管理」と略称されます。すべて5肢択1式,各科目25問です。

 僕の勉強方法としては、まず参考書を一通り読みます。僕は弘文社の「よくわかる!環境計量士試験濃度関係」を使いました。公式などは導出過程を吟味し,付いている練習問題も一通り解きました。とにかくゆっくりで良いから全体の流れをつかんでおく,ということです。
 次に,参考書の問題などで間違えた箇所,自信がなかった箇所については,ここでノートを作りました。ノートは参考書の丸写しではなく,問題を解く際にそれを見れば間違えた問題や自信がなかった問題が解ける,という程度のものです。例えば,その問題を解くときに必要な公式や注意点などです。ルーズリーフ1枚につき1テーマを書くようにします。このルーズリーフは,常に未完成な状態が継続されていて,後に類似した事柄や自分が間違いやすい注意事項などを追加していきました。ノートと言ってもメモ用紙と同じように問題をとく際に気付かなければいけない点を書き連ねていくだけで、あまり体裁などにこだわりませんでした。
 そして、次々と過去問(4,5年分は必要)を解き、それに基づいて既にあるノートに追記していきました。加えて、これまでに解いた過去問で間違えた箇所,あやふやだった箇所については,原則としてノートを参照しながら「表」にして日頃から自分の目に付くところに貼り付けました。間違えた問題を正答できる程度の最低限の情報1項目を書いて少しずつ暗記していきました。
 「環化」については化学に関する基礎知識やモル、濃度計算など、大学で行なわれた化学演習の講義内容と重なる部分も多かったので、その時の勉強が役に立ったと思います。出題範囲が広いので数多くの問題に触れておくことが必要です。
 「環濃」はJISに定められている環境中の物質濃度の測り方についての知識が問われるものでした。実務経験のない僕は、聞いたこともない装置が沢山出てきたので覚えるのにとても苦労しましたが出題傾向の高い装置を重点的に学習すればいいと思います。
 「法規」「管理」は重要な箇所が決まっているので、過去問をやるうちに合格点を取れるようになると思います。特に「管理」では頻出の単語の意味を理解しておくことが大事です。

 最後に、これらの勉強は趣味でやったわけではありません。自分でこれをがんばってみよう、と判断してやりました。率直に言って勉強は苦痛をともなうものです。 勉強をしている期間中,試験を意識して落ち着かなかったり,友達や家族と過ごすべき時間を勉強に注ぎ込み,この勉強よりももっと大事なことがあるのでは,と迷ったりすることもありました。 しかし、どうしてもわからない箇所や覚えられないところが出て来る度に大学の先生や友達に相談したりして乗り越えていくことで得るものは学力だけでなく大きいと思います。